[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
もし、次にあいつと会うことがあったなら。
屑だの、劣化レプリカだのとは決して呼ぶまいと、
今度はちゃんと"名前"を呼ぶのだと、
ひっそりと心の中で誓っていた。
「あっしゅ・・・。」
のだが。
「なぁ、アッシュ、どうしよ。」
待て。コレは一体どういうことだ。
「俺、胸が痛い・・・どうしよう、アッシュ・・・。」
誰か、どういうことか説明しろ。
にじり、とソレはアッシュの目の前に寄ってきた。
自分よりも若干薄い朱い髪色は、自分が嫌でもよく知っている人物だった。
しかし何かがおかしい。
以前に比べれば落ちた筋肉、柔らかそうな白い肌、潤んだ碧の瞳、
そしてふくよかな、胸。
・・・胸?
「アッシュ・・・?どうしたら治るのかな・・・これ・・・。」
待て。
大体おまえは男でいや待て仮に女だとしてもだどうしてそんなに胸を露出・・・いや強調してる服を着ているのか
それにいつの間にお前はそんな色気を・・・いやいや待て待て待て!
俺は一体何を考えているんだ!!
「治してくれよ、なぁアッシュ・・・?」
にじり。
ソレとの距離がだんだんと縮まっていくにつれ、
アッシュの顔が真っ赤になっていく。
非情な人生を歩んだとはいえ、アッシュはまだ青春真っ盛り。
もちろん、そういったものにも興味がないわけではない。
色街に行ったこともある。
適当な女と戯れた経験もある。
しかし、これは何だ。
ある意味これは反則だろう!
にじり。
何だこの状況は、何の仕返しだというのだ。
あぁやめろ胸を寄せながら近寄って来るな。
そんな顔で俺の名前を呼ぶな。
柔らかそうだとか思うんじゃねぇ!
抱きしめたいだとか、そんなことはっ断じてっ断じてっっ・・・!!!
にじり。
「・・・っく・・・それ以上・・・っ!!!」
にじり。
「・・・近寄るなこの屑があああああああああああああああ!!!!」
もし会えたら名前を呼ぶのだと言うアッシュの密やかなる誓いは、
無残にも、あっという間に砕け散った。
"・・・、・・・?"
『あぁ。無事にな。
今はまだ隣で眠りこけているが。
・・・しかし人間というものはこんなに複雑な表情で眠るものなのか?』
"は??"
ローレライの目の前では、自分の髪の紅よりも顔を赤くさせながら眉間に皺を寄せ、
苦しそうだが幸せそうに唸るという何とも器用に眠る青年の姿があった。